48. チャレンジ
少しの苦闘は必ず必要なことです。私たちは嵐――稲妻、雷鳴、そして悲しみ..を経験することで、それと同時に喜びと幸せを経験することでも、より豊かになってゆきます。
私は古くからあるたとえ話を聞いたことがある..非常に古いにちがいない。というのも、そのころは神はよく地上に住んでいたからだ……。」
ある日、ひとりの男が、年老いた農夫が来てこう言った。「いいですか、あなたは神かもしれないし、世界を創ったかもしれない。でも、私はひとつのことだけはあなたに言わなければなりません、あなたは農夫ではないのです。あなたは農業のいろはさえ知らないのです。少しは学んだらどうですか」
神は言った。「どうすればいいのかね?」
農夫は言った。「私に一年という時間をください。そしてものごとをただ私の言うとおりにしてください。それでどうなるか見てほしいのです。貧困はすっかりなくなっているでしょう!」
神は喜んでそうした。そしてその農夫には一年が与えられた。当然、彼はもっとも良いものを求めた。彼はもっとも良いこと..雷鳴はない、強い風はない、穀物に危険はないといったことしか考えなかった。あらゆることが快適で、心地よかったので、彼はとても幸せだった。小麦はほんとうに高く育っていた! 太陽が欲しいときには、太陽が照った。雨が欲しいときには、雨が降った。しかも彼の望みに応じて。この年はすべてにまちがいがなかった。数学的に正しかった。
小麦は非常に背高く育っていた……農夫はよく神のところに行って、こう言った。「見てください! 今度の穀物は、たとえ人びとがこれから先十年は働かなくても充分なほどになるでしょう!」
だが、穀物が取り入れられると、なかには小麦がなかった。農夫は驚いた。彼は神にたずねた。「どうしたのでしょう? なにがうまくいかなかったのでしょう?」
神は言った。「チャレンジがなかったからだ。争いがなかった、あつれきがなかったからだ。お前が悪いものをすべて避けたために小麦は能力がないままだった。少しの争いは必ず必要なものだ。嵐は必要だ。雷鳴、稲妻は必要だ。彼らは小麦のなかの魂を揺り起こす」
このたとえ話には途方もない価値がある。もしあなたが幸せで、幸せで、ただ幸せなだけだったら、幸せはすべての意味を失う。それはまるで、誰かが白い壁に白いチョークで書いているようなことになるだろう..彼は書きつづけることはできる、だがけっして誰もそれを読むことはできないだろう。
夜は昼と同じだけ必要だ。そして悲しみの日々は、幸せの日々と同じように欠かすことができない。これを私は理解と呼ぶ。そして、徐々に徐々に、生のリズムを、二元性のリズムを、両極性のリズムを見れば見るほど、それだけあなたは求めるのをやめる、選ぶのをやめる。あなたは秘密を見出したのだ! この秘密とともに生きることだ。そうすれば、あなたは突然驚くだろう。生の祝福はなんと偉大なのだろう! 瞬間ごとに、いかに多くがあなたに注がれていることだろう! だがあなたは、自分の期待のなかで、自分の小さな取るにたりない欲望のなかで、ずっと生きている。そしてものごとがあなたの欲望にかなっていなかったら、あなたは惨めだ。
あなたがものごとの自然に従うときは、どのような影も投げかけられていない。そのときには、悲しみすらも輝いている。悲しみが来ないというのではない..それはやってくる..だがそれはあなたの敵ではない。あなたはその友だちになる。その必要性がわかるからだ。あなたはその優美さを見ることができる。そしてあなたは、なぜそれがそこにあるのか、そしてなぜそれが必要なのか、見ることができる。そしてそれなしでは、あなたはもっと少ないだろう、もっと多くはない。
THE PERFECT MASTER, Vol.2 pp.307-311
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2017年6月23日金曜日
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